切り抜き帳 002

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道内最古1699年建築 上ノ国八幡宮本殿
はりの彫刻専門家調査 通説の71年前
【上ノ国】桧山管内上ノ国町の上ノ国八幡宮本殿が、通説より七十一年古い一六九九年

(元禄十二年)の建築で、道内で最も古い木造建築物である可能性が高いことが町教委

の調査で十九日までに分かった。

 これまで、現存する道内の木造建築物としては同町の上国寺本堂(国の重要文化財)

が一七五八年(宝暦八年)建立で最古とされてきたが、これを五十九年さかのぼること

になる。

 八幡宮本殿はこれまで、一七七○年(明和七年)の建築と考えられていた。本殿の部

材に「明和七」の墨字が残されているとの、一九六二年発行の村史が根拠だった。

 ところが今年、老朽化のため改築を計画、本殿を初めて建築史の専門家の鈴木亘・元

鶴見大講師=横浜市在住=らに見てもらったところ、はりの彫刻文様などが通説の建築

年と適合しないことが判明。「明和七」と書かれた部材は、柱やはりなどの構造材では

なく、神体を置く台座として後から設置されたとみられ、本殿自体の建築年数を示すも

のではないことが分かった。

 鈴木さんらは、松前藩の正史「福山秘府(ひふ)」の中で、八幡宮を元禄十二年に「

造替」したという記録に着目。彫刻文様や建築様式から、同年の建立にほぼ間違いない

と結論付けた。

 町教委は「先祖が三百年以上も大切に守り続けてきたことが分かり、これまで以上に

貴重な建築物となった」として、調査結果を文化庁に報告。今後、同庁に確認調査の実

施を要請することにしている。

                        北海道新聞 2007年12月20日朝刊

 
上ノ国八幡宮

松前藩の祖、武田信広が築いた勝山館(かつやまだて)に守り神と
して1473年(文明5年)に創建され、歴代の松前藩主が毎年参準した
と伝えられている。
 神体が納められた本殿は幅2.1m、奥行き2.3m、高さ3m。建て替
えを経て、1876年(明治9年)に勝山館から町内上ノ国の現在地に移
された。
 町の有形文化財。風雨から保護するため屋内に納められている。

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