巨大 絵馬奉納うさぎで締め 
大工・金子さん 画家・喜井さん 
 【恵庭】新年のえとを描いた巨大絵馬を、恵庭市の豊栄神社に毎年欠かさず奉納してき

た70歳代の画家と大工がいる。「えとが一回りするまで続けよう」と最初の奉納で誓っ

てから、30日で丸12年。2人は12枚目となるウサギの絵馬を神社に届け目標達成を

喜び合った。(石川泰士)
12年かけ恵庭・豊栄神社に 
 同市有明町の大工金子正広さん(71)と、同じ町内の画家喜井陽心さん(79)。巨大絵

馬は畳1枚分の大きさで、金子さんが道産木材を加工して板と額を作り、喜井さんが新年

のえとを顔料で色鮮やかに描く。「新年がいい年になるように」との願いを込め、199

9年の竜から毎年奉納している。

 今回奉納した絵馬は、中央にえとのウサギが親子5匹、仲良く並ぶ。家族愛の大切さを

伝えるためだ。「今までで最高の仕上がりになった」と菩井さん。

 一度だけ、奉納が途切れかけた。金子さんが昨年春、末期の大腸がんと診断され、入院

したのだ。「手術が10日遅ければ命も危うかった。最後の1枚まで奉納できたことは人

生の大きな喜び」と明るい声で言う。

 喜井さんは奉納完了を「亡くなった母に伝えたい」と語る。古里四国の名所、金比羅山

を母と訪れた50年前。奉納されていた絵馬を見た母が「いつかこんな立派な絵馬を描け

るようになって」と害井さんに言った。あの何げない言葉が懐かしく思い起こされる。

 2人が平和と繁栄の祈りを込めた絵馬は、拝殿内に来年末まで飾られ、2011年のマ

チを静かに見守る。
 
2010年12月31日「北海道新聞」朝刊より 

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