馬の開拓史 後世に
白老の元中学経論・高久さん 
全道の馬頭観音を調査 
【白老】胆振管内白老町の元中学校教諭高久賢さん(76)が、馬の供養などのため道内各

地に建立された馬頭観音像と馬頭観音の石碑の調査を続けている。かつては人や物を運び

、北海道の歴史とも深いかかわりがある馬。その歴史を後世に伝えようと、全道の馬頭観

音像をまとめた本を午年の2014年に出版するのが目標だ。

 馬頭観音像や石碑は、農耕や生活物資の運搬で働いた馬の供養や、活躍した競走馬の功

績をたたえる目的で、農村や神社の境内などに建立されている。高久さんによると、馬に

乗った観音像や高さ6bを超える石碑など形はさまざまで、道内には昭和初期の建立を中

心に江戸時代末期のものまで約3千500基がある。

 高久さんは美唄市出身。後志管内仁木町の中学校を退職した後の04年、石仏に興味を持

ち始め、道内に馬頭観音像や石碑が多いことに気付いた。「北海道の開拓を支えた馬の歴

史を若い世代にも伝えたい」と全道の観音像を調べた資料を作ろうと思い立った。05年に

は「北海道馬頭観音研究会」も設立。現在は昨秋に転居した白老で調査と編集作業を続け

ている。

 各地の図書館や資料館、郷土史家の協力でデータを収集。建立地を訪ねては写真を撮っ

て建立の時期、経緯などを取材し、これまでに約180基を調べた。所在地は今では人が

住まなくなった場所も多く、「石碑が草むらにぽつんとたたずむ光景に歴史の重みを感じ

る」という。

 既に地域別で後志、胆振、十勝、空知管内の調査結果をまとめた4冊の本を自費出版し

ており、14年までには残りの地方も調べて、全道編を出版したい考えだ。高久さんは「

馬の功績の貴重な足跡を知ってほしい」と話している。

 出版物の問い合わせは高久さん0144-83-2200へ。

白老町の牧場で競走馬の功績をたた
える馬頭観音像を見つめる高久賢さん
 2011年01月07日「北海道新聞」夕刊より 

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